井口 聖 氏、2024年電気通信大学同窓会賞を受賞
同窓会賞の授与式は、2024年4月4日の午前11時10分から、入学式及び特待生表彰式の終了後に引き続き行われました。司会の目黒会水戸専務理事から、同窓会賞の趣旨説明や、受賞対象者の井口氏の業績及び受賞対象として評価できる旨を説明し、目黒会森会長から表彰状・祝金を授与しました。そして、同窓会賞を受賞した井口氏が、新入学生に対して、アルマ望遠鏡の開発、銀河形成・進化の研究、アルテミス計画など、興味深い講演をして戴きました。
同窓会賞の概要
電気通信大学は現在までに多数の卒業生を送り出しています。世界の各方面で活躍している卒業生のうち、科学技術の研究業績ならびに社会貢献が特に顕著な方に、電気通信大学同窓会「一般社団法人目黒会」が「電気通信大学同窓会賞」を授与してその功績を称え、同窓生の方々にも広く認めていただくことにしているものです。1995年からこれまでに36人の方々が受賞されています。
受賞者:井口 聖(いぐち さとる) 氏 経歴と業績
(経歴)
1995年 国立電気通信大学電気通信学部電子工学科卒業
2000年 国立電気通信大学大学院電気通信学研究科博士後期課程電子工学専攻修了
2000年 国立天文台中核的研究機関研究員
2001年 国立天文台助手
2003年 総合研究大学院大学物理科学研究科天文科学専攻担当
2007年 自然科学研究機構国立天文台准教授及び総合研究大学院大学物理科学研究科天文科学専攻担当准教授
2010年 自然科学研究機構国立天文台電波研究部主任
2012年 自然科学研究機構国立天文台教授及び総合研究大学院大学物理科学研究科天文科学専攻担当教授
2018年 自然科学研究機構国立天文台副台長
2023年 自然科学研究機構国立天文台アルマプロジェクト長 現在に至る
(業績)
井口聖氏は、電気通信大学 学部卒業・博士前期課程修了・博士後期課程修了(2000年3月)の後、国立天文台助手として2001年に国立天文台のアルマ望遠鏡計画に携わり、2年目に日本のエンジニア部門のリーダーになり、2008年には国立天文台准教授として東アジアを代表するプロジェクトマネージャーに就任されました。
アルマ望遠鏡計画は、東アジア、北米、欧州の共同プロジェクトで、南米チリの標高5000mの高原に巨大な電波望遠鏡を建設し、惑星の誕生の現場までを観測するものでありますが、井口氏は2008年からアルマ望遠鏡計画のプロジェクトマネージャーとして、アルマ望遠鏡の建設の完遂、2011年からの運用開始と定常運用への移行、2020年代に向けた拡張計画の立案と基礎技術開発の先導、運用期における日米欧三者アルマ協定書の締結など国際交渉を行ってきました。現在、アルマ望遠鏡は惑星誕生の現場や遠方宇宙の観測で成果を挙げ、そこで培われた技術が量子コンピュータなど様々な領域に応用が期待されるなど、井口氏の功績は多大なものがあります。
また、国内では総合科学技術・イノベーション会議や文部科学省での各種審議会議の対応など、望遠鏡開発の分野で国内外において活躍してきました。
国立天文台副台長を経て、現在は国立天文台教授および総合研究大学院大学担当教授として、国立天文台アルマプロジェクトにて銀河の構造形成に関する観測的研究を進めるとともに、ブラックホール質量測定及びバイナリーブラックホールの研究に力を注ぎ、さらに次世代望遠鏡の研究を行っています。
井口氏は、ORCID掲載論文が94件という世界一線級の天文学の研究者であります。
<取材:広報委員会>