隅田 英一郎 氏、2023年電気通信大学同窓会賞を受賞
同窓会賞の授与式は、2023年4月6日の午前11時10分から、新入学生が集まる入学式及び特待生表彰式の終了後に引き続き行われました。司会の目黒会水戸専務理事から、同窓会賞の趣旨説明や、受賞対象者の隅田氏の業績及び受賞対象として評価できる旨を説明し、目黒会森会長から表彰状を授与しました。そして、同窓会賞を受賞した隅田氏が、後輩になる新入学生に対して、自動翻訳の現状、仕組、使い方など、興味深い講演をして戴きました。
同窓会賞の概要
電気通信大学は現在までに多数の卒業生を送り出しています。世界の各方面で活躍している卒業生のうち、科学技術の研究業績ならびに社会貢献が特に顕著な方に、電気通信大学同窓会「一般社団法人目黒会」が「電気通信大学同窓会賞」を授与してその功績を称え、同窓生の方々にも広く認めていただくことにしているものです。1995年からこれまでに35人の方々が受賞されています。
受賞者:隅田 英一郎(すみた えいいちろう) 氏 経歴と業績
(経歴)
1980年 国立電気通信大学電気通信学部電子計算機学科卒業
1982年 国立電気通信大学大学院電子計算機学専攻修士課程修了
1982年 日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所研究員
1992年 株式会社国際電気通信基礎技術研究所研究員
2006年 株式会社国際電気通信基礎技術研究所室長
2007年 独立行政法人情報通信研究機構研究員
2008年 独立行政法人情報通信研究機構グループリーダー
2012年 独立行政法人情報通信研究機構室長
2016年 国立研究開発法人情報通信研究機構フェロー 現在に至る
(業績)
隅田英一郎氏は、卒業以来機械翻訳の分野、特に音声翻訳技術の分野においては第一人者と認められる業績を挙げられてきました。以下に詳細を記します。
1986年に日本が世界に先駆けて開始した音声翻訳の研究にその初期から参画し、大規模多言語データベースを構築し、これに基づく翻訳技術の研究開発を推進されました。
2010年に音声翻訳のスマートフォン向けアプリケーションVoiceTraを公開し900万弱の利用者を得ました。
内閣府の社会還元加速プロジェクト「言語の壁を乗り越える音声コミュニケーション技術の実現」を実施、目標を上回る成果を出し2012年に1年前倒しで成功裏に終了させました。
2017年には自動翻訳システムのさらなる高精度化に向けて様々な分野の翻訳データを集積する翻訳バンクの運用を開始されました。
2018年にはアジア太平洋機械翻訳協会(現 一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会)会長に就任し、以来広く機械翻訳の改良・啓蒙・普及に貢献されています。
2020年からは総務省のグローバルコミュニケーション計画2025を推進し、多言語翻訳技術の高度化と社会実装の更なる進展に向けて活動されています。
このように技術の革新および社会実装の両面から研究者としてのみならず多くのプロジェクト推進のキーパーソンとして現在に至るまで活躍し、音声翻訳技術の発展に極めて重要な貢献をされています。
<取材:広報委員会>