【好きな本】
田中重太郎著『小倉百人一首解釋』（初音書房＠昭和41年11月）初版本。大学受験勉強時（昭和42年）は古文法の参考書であったが書込等でボロボロとなったので（左）、メルカリで同じ昭和４１年１１月版を見つけて購入（右）、現在は私の「短歌の先生」となっています。口幅ったいですが、本書は江戸後期の儒学者の佐藤一斎の「少而学、則壮而有為。壮而学、則老而不衰＝少にて学べば壮にして為す、壮にして学べば老いて衰えず」を実践する座右の書です。
本書の別の楽しみ方は、一、二番の天智・持統親子の歌で始まり、九十九、百番の後鳥羽院・順徳院親子の歌で締められている＊ように「大化の改新・壬申の乱の七世紀半ばから承久の変の十三世紀半ば迄の約六百年間の、天皇を頂点とする貴族社会の栄華から天皇が流罪もされる武家社会到来迄の栄枯盛衰」に思いをはせることができることだと思います。
＊田淵句美子「百人一首　編纂がひらく小宇宙」など

【私の好きな本】田中重太郎著『小倉百人一首解釋』