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26調布ネットワークVol.26-21 はじめにホンダは2003年に自動車メーカーとして世界で初めて、車両のフローティングカーデータによる交通情報システムを実用化しました。これは車両の走行データをインターナビ情報センターで共有し、カーナビに最適なルートを提供するものです。 ここでは、車のビッグデータを活用したHondaテレマティクス「インターナビ」の安全で快適なモビリティー社会を目指した取組みを紹介します。 2 東日本大震災時の対応2011年3月11日14時46分東日本大震災が発生し、多くの道路の崩壊が発生しました。大規模震災発生時は被災地からの避難だけでなく、救援・物資の搬送を行う上で道路情報は極めて重要な情報です。そこで発災直後からのインターナビ会員車両で収集したフローティングカーデータから、通行実績があった道路が判る情報をオープンフォーマットのKMZファイルで生成し、翌朝10時30分に公開をしました。これにより行政や研究機関、またGoogleやYahooなど様々な人たちがこのデータを元に、被災地域の移動支援情報に活用できました。尚この「道路通行実績情報」は、2014年2月に発生した山梨豪雪や、台風被害でも生成し公開をしています。3 震災時の課題東日本大震災当時、「グリッドロック」と呼ばれる超渋滞現象が各地で発生しており、収集したフローティングカー情報からもその傾向は顕著に観測できました。特に最大震度6強、8・6m以上の津波を観測した宮城県石巻市では車での避難に非常に時間がかかっていました。図1は地震発生の発災後から3時間に、インターナビ情報センターに集約されたフローティングカーデータを速度ごとに色別化したものです。四方を海と川と鉄道で囲まれた市の中央を走る国道398号線では大規模な渋滞が発生しており、260m進むだけで51分もかかった箇安全で快適なモビリティー社会を目指した、ビッグデータの活用本田技研工業株式会社 役員待遇参事 グローバルテレマティクス部 今井 武所があり、そこに津波が襲いました。東日本大震災での津波の被害を受けた車は宮城県だけでも14万以上といわれています。発災時、いかに的確な避難ができるかが課題です。4 次に向けて我々はこの課題の解決に向けて東北大学の桑原先生と、DOMINGO(データ指向型モビリティー情報生成グループ)という研究会を立ち上げたのでその内容を紹介します。一つは石巻市の震災時からの車の動きを再現し、石巻の都市計画に活用しています。例えば避難道路や橋の増設、また道路を2車線から4車線にしたらどう渋滞が緩和するかシミュレーションができる様にしました。もう一つは3・11時の津波が襲って来る状況を、地形データや建物のビッグデータから再現をしました。大渋滞の中にいる人がもし津波が襲って来る状況を、リアルタイムに認識できたらこんな被害は出なかったと考えます。つまり、これからはビッグデータをリアルタイムにモニタリングして、リアルタイムにその状況を伝える技術を開発する必要があると考えています。

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