chofunetwork26-2
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24調布ネットワークVol.26-2等が中心になって進められてきた。工学系単科大学である電気通信大学で脳神経科学の研究をおこなう必然性はないという意見もあるだろう。しかし、本学は、情報通信、情報処理、計算機科学等ビッグデータの基礎技術を得意分野としている。こうした技術を、脳科学ライフサポート研究センターで進める脳計測のデータ解析に活用すれば、他所では真似のできない新しい脳神経科学を発展させる可能性を秘めていると考える。 マウス視覚野における二光子カルシウムイメージングのスナップショット光っているドットはニューロンを表し、その輝度はCa2+流入量を表す。スケールバーは100μm。Yoshida, Ozawa, Tanaka PLoS ONE 7(7):e40630, 2012.1 はじめに2000年代後半以降、顧客データのような構造化データだけでなく、ソーシャルメディアのような非構造化データやセンサーに由来するマシンデータが世界的に急増している。これまでも衛星センシング情報やゲノム情報など巨大なデータの分析は行われてきていたものの、その分析にコストを要するため分析対象は限定的であった。しかしながら、近年のハードディスクの大容量化やHadoopなどの新しい分析基盤技術の登場により蓄積や分析のコストが急低下したこと、通信技術の発達によりデータが急増したこと等から、ビッグデータ活用に対する注目が高まっている。2 携帯電話事業者におけるビッグデータ携帯電話事業者は、移動体網を経由して取得される通信に関するイベントログである、通信履歴データを記録している。通信履歴データは主に、通話、SMS(ショートメッセージサービス)、データ通信の時に記録され、端末またはユーザの識別子、通話・通信の開始時・終了時、接続した基地局といった情報が含まれる。この情報は、正当業務行為である課金・通信インフラの運用・保守の他に、通信履歴の電磁的記録の保全要請対応、ユーザ同意が必要とはなるが通信事業者のサービス改善・創出を目的として使用される。通信履歴データを位置情報の取得手段として見ると、GPS履歴データなどに比べ、ユーザやシステムに対する追加コストが少なく、ユーザ、時間の網羅性が高い。一方で、通信履歴データの記録タイミングはイベント発生時(通話・通信時)のみであるとともに、位置精度は基地局の立地密度に依存するという問題がある。我々は、通信履歴データの粗さを補い、データ活用に必要な情報に変換する研究開発を進めている。具体的には、通信品質向上や防災、街づくりといった通信事業者内外の様々な課題解決に通信履歴データを利用可能であると考え、滞在地やその間の経路・交通手段、滞在目的等の推定を行っている。ビッグデータとM2M通信技術株式会社KDDI研究所 執行役員 グリーン・クラウド部門 杉山敬三

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