chofunetwork26-1
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28調布ネットワークVol.26-1前をご存じの方なら、昔の生協食堂の脇に同じ名前の喫茶室があったことを覚えておいででしょう。今のリサージュはいい場所にあります。正門からすぐ近くで学外からの訪問者には分かり易いし、1階も2階もちょっとした会合ならいつでも使える空間です。発明クラブ/工作教室のほかにおもちゃの病院や学生サークルによる工作教室、あるいは学生同士の打ち合わせに活用されています。そのほか、就職指導にも大きな利用価値があります。かくいう私は、発明クラブ会長職と共に記念会館主事の職を務めてきました。そのような次第で、クラブ指導員の皆様のほか、前田隆正(前)会長、安田耕平会長、野々村欽造副会長、歴代事務局長をはじめとして多くの目黒会関係者の方々と知り合うことができました。皆様に共通するのは母校のために一肌脱ごうという意気込みの強さです。電気通信大学ほど同窓会組織との協力関係が緊密な大学は、あまりないのではないでしょうか。ほどよい規模の大学であるからこそ、まとまりが取れているのかもしれません。多くの皆様は、それまでの仕事を定年でおやめになったあと母校においでになっているのでしょう。どのような魔法が働いて皆様を調布の地に引き寄せているのでしょうか?振り返ってみると、そもそもクラブに関わるようになったのは、約10年前に中田良平先生からのお誘いがきっかけです。理科好きではあるけれど、人見知りが強い私は不承不承引き受けることにしました。それ以来、目黒会が電通大を支える姿を比較的間近で拝見できたのは実に素晴らしいことです。目黒会のますますの発展を祈念して筆をおくことといたします。定年を迎えるにあたり共通教育部 教授吉川和利初任の国立大学への奉職時、「日本国憲法を遵守して」という宣誓書署名は責任感を痛感した一瞬でした。さらに教育基本法の前文から真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民を育てることが教育の務めだと肝に銘じました。身体運動の「技」を中央におき、心と身体を磨くのが保健体育の責務であることを念じて39年数ヶ月を過ごしたことになります。電気通信大学の辞令交付後に何よりも感動したのは所属する教室スタッフの教育にかける情熱の高さと持続力、そして人の和でした。クラブ活動に携わり、地味な体力テストを総力で遂行する責任感とチームワークに正直、息を呑みました。天の時に加え、学問に真摯な教員学生の人の和、そして刺激的な地の利に恵まれての7年間に感謝したいと思います。誰しも学恩といえることがあるのでしょうが、新田次郎氏「聖職の碑」は山岳遭難時に梅干し入りの握り飯で子どもを守った教師の慈しみの思想と行動を描いています。クエン酸回路によるエネルギー代謝を遭難事件の中で捉えた無線電信講習所卒業生の作者の慧眼は、私の講義や実技で格好な材料の提供をいただいたことにもなります。私は中学1年時に教わった英語の先生の薫陶が無かったなら勉強する意欲など持たなかったはずです。先生はご結婚で教職を辞されたのですが、自分がわかっていない力を引き出して下さる恩師に巡り会うこと程、幸せなことはないと思い至ったのは何十年も経過してからのことです。教育の究極的目標は人格の完成にあり、教師と学生の闊達な交流に加えて、専門的高度化と教養の深さとが踵を接していなければならないはずです。そのためにも「学問の自由は、これを保証する」23条を含む日本国憲法全体が護持され、お互いの仕事と勤労を尊重し合える国に

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