[スマートテクノロジーフォーラム]
STF<2017>/「プロ棋士を超える囲碁ソフトの出現で改めてブームとなっている人工知能」

電気通信大学 名誉教授 三木 哲也

目黒会が主催する「スマートテクノロジーフォーラム」は今年で5回目ですが、その前身の研究会(設立時は海上通信研究会、後に移動体通信研究会)は1960年代から開催してきており、通算しますと今回は60回目に当たり還暦となります。

フォーラムと称するようになってからは、情報通信分野に限らず広くその時どきのホットなテーマを設定して開催していますが、今回は「人工知能は生活・社会に何をもたらすか?」というテーマとしました。

グーグルの囲碁AI「アルファ碁」が世界のトッププロ棋士を次々と制覇したことで、人工知能研究は再び大きな盛り上がりを見せており、これは第三次人工知能研究ブームと言われています。電気通信大学では、昨年新たに人工知能先端研究センター(AIX)が開設されました。このようなことで人工知能をテーマに取り上げたのですが、最近はいろいろな所で講演会などが開催され、マスコミでも度々取り上げられることから、一般の人達の関心も高くなっています。このような状況から、このフォーラムも240名の多くの方に参加頂きました。

今回の講演につきましては、電気通信大学が来年創立100周年を迎えることからこのフォーラムも記念事業の一つとなっており、それに相応しい第一人者を講演者にお願い致しました。講演者をお願いするに当たっては、人工知能先端研究センター長の栗原聡教授に多大なご協力を頂きました。

最初の栗原聡教授の講演では「人に寄り添う人工知能の実現に向けて」と題して、人工知能研究を歴史的に概観し新たに出現したディープラーニング技術を含めて最近の研究の動向が説明されました。

2番目の講演では、LIFULL 研究所の清田陽司氏から「人工知能は不動産物件情報のウソを見破れるか? 〜1億点の物件画像データを活用したディープラーニング応用の取り組み~」と題して、ディープラーニング技術が現実のビジネスに活用されている事例が紹介されました。

3番目の講演では、電気通信大学の庄野逸教授から「ディープラーニングと画像処理への応用」と題して、ディープラーニングに基づく画像処理技術の要点について、人物認識や物体認識、あるいは医療画像診断などの技術が解説されました。

最後の講演では、 東京大学特任講師で人工知能学会倫理委員会委員の江間有沙氏によって「人工知能が浸透する社会を考える」と題して、江間氏らが作成した人工知能学会の倫理指針の説明を含めて人工知能がもたらす社会と技術の関わりについて考えていかなければならない問題が提起されました。

これらの講演により、現在急速に発展しつつある人工知能技術への理解が深まり、それらの活用による可能性への期待と共に、人工知能が使われる社会にもたらされる新たな問題についても考えていかねばならないことへの認識が高まったものと考えます。このフォーラムの内容が皆様の仕事や活動の今後の参考になれば幸いです。