調布ネットワーク 25-2
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41後期課程の受験資格を習得する必要がありました。そこで、これまでの業務を通じて寄稿した記事や論文、60歳を契機に出版した技術評価に関する書籍等を取りまとめました。また、当時日本経営工学会会長をされていた電気通信学研究科システム工学専攻の松井正之先生(現神奈川大学教授)にお会い出来、これまで全く面識がないにも関わらず研究課題への貴重なご助言を頂いたことは大変ありがたいことでした。こうしてようやく受験資格が2007年12月に認められました。博士後期課程の社会人入試は、教授、准教授合わせて5名の先生方により行われ、受験の動機、研究課題、得意分野、基礎知識、覚悟の程等多くのご質問を頂きましたが、2008年2月、何とか合格通知を手にすることが出来ました。4.博士後期課程入学と研究の推進多くの若い学生に交じっての入学式には違和感を覚えましたが、梶谷学長の励ましの言葉に加え、同年輩の入学者もちらほら見かけ安心しました。その後、指導教授の松井先生ご指導の下、詳細な研究計画を詰め、研究推進に必要な基礎知識を養うべく、多変量解析、OR,包絡分析、ゲーム理論等の教科書10数冊を入手するとともに、研究の出発点となる基礎データとして、客観的に記述されている100事例を研究題材として選び、数値化して解析対象としました。5.学会発表と査読論文、博士論文博士後期課程在学中の3年間、日本経営工学会の春、秋の大会では必ず発表すると共に、厳しい査読付きの論文も1年がかりで認められました。正直に言って、3年間で最も過酷な仕事でした。博士論文は、松井先生と相談の上、これまでの論文を軸に、問題の設定、データの分析と解釈、その根拠、考察と今後の展望について7章で構成しました。予備審査、本審査を無事通過して、2011年3月、学位授与式に臨み、梶谷学長から博士(工学)号を授与されました。すでに69歳になっていました。6.学費国立大学は学費が安いとはいえ、3年間で200万円程度の用意が必要ですので、家族との話し合いは必須です。7.博士号取得の効果1 内部効果まず、70歳を超えても冒頭で述べた「抽象化や概念構成」の力が伸びていることを実感することが出来、充実感を味わえる日が増えました。2 外部効果博士号は、世界において大きなステータスを持っており、お付き合いのある研究者から仲間扱いをされるようになったことはうれしい限りです。また、70歳を超えて、独立行政法人、大学、自治体、財団等から何かとお話を頂き、「やりがい」を軸に喜んで仕事をお受けできるのも大きな効果だと考えております。付記タカラトミーの創業者である安藤安太氏は、自らのものづくり体験を体系化し、2010年86歳で博士(工学)号を山形大より取得、茨城県信用組合の元理事長である幡谷裕一氏も86歳で博士(学術)号を筑波大より取得されている。

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