調布ネットワーク 25-2
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33スマートテクノロジー・フォーラム(STF)2013は①個々の視聴者に異なるコンテンツを提供できること②個々の視聴者に最適な広告を提供できること、にあると考えている。海外の放送事業者達がセカンドスクリーンに目の色を変えるのはこのような理由によるのであろう。写真1は、今年のCESで米クアルコムが公開したレース「NASCAR」の中継画面である。大画面中、放送による中継は動画の一つ(一区画)であり、他はストリーミングだ。タブレットには、手元視聴用に視聴者が組んだ画面構成で表示されている。視聴者は自由な画面構成にできるし、タブレット毎にも画面構成を変えられる。この例の場合、コンテンツの提供主体はレース主催者であるため、放送事業者には画面構成に関して異議を挟めない。放送事業者がコンテンツ配信の主体とならない場合、かなり自由な構成を取れる例となった。画面構成は、放送事業者がすべて管理するという従来の発想ではセカンドスクリーン時代には対応できないのではなかろうか。3 4K/8Kへの期待日本で言う4K/8Kは、ITU-R BT・2020においてUHDTVと総称されている。EBU(欧州放送連合)などでは4KをUHD-1、8KをUHD-2と区分しているが、4Kに限れば「4K」の方が通りが良いようだ。9月に開催された欧州最大の放送機器展示会IBC2013では、4K用の機材、サービスが多数登場した。4月に米国で開催されたNABショウでは、日本メーカーのカメラ、ディスプレイ中心だったのが、より広範な企業に4K機材の出展が見られた。NABショウの時点でも制作側は「放送方式が決まらなくても、4Kで撮ることが大切。HD放送であっても画質の違いを見せられる」としていたが、IBCではこれに賛同する流れができていた。UHDTVについては、放送開始はまでは時間が掛かるが、コンテンツの蓄積は早期に実現されそうだ。なお、今回のIBCで欧州勢もフレーム数の向上に目を向け始めた。BT・2020では120Pが規定されているが、100Pまたは150Pをうかがう動きが見えてきた。現地の論客は、現行レートの4KをUHD-1C(Cはコンベンショナルの意)、高フレームレート化したものをUHD-1H(Hは高フレームレートの意)と区分し、導入への下地を作っていた。UHDTVでも世界統一フォーマットは無理か、それとも50ヘルツ圏、60ヘルツ圏双方納得の点があるか、事態は流動的である。写真1米QualcommがInternational CES 2013にて公開したタブレットとテレビの通信デモ。メインスクリーン(テレビの画面)には、レースを伝える放送映像の他、レースのデータ、お気に入りのドライバー視点の映像などが配置されている。放送映像以外はすべてストリーミング。テレビの画面とタブレット画面が微妙に異なる点に注目されたい。また2つのタブレットは同じ画面を出している。このような画面構成を視聴者が自由に行える。

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