調布ネットワーク 25-2
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32調布ネットワークVol.25-21 変わる“スマート”の定義“スマートテレビ”なる語が現れて久しいように感じる。しかし、過去10年以上の取材写真で確認すると、この語が大々的に現れたのは、2011年初頭に米国ラスベガスで開催された家電・インタラクティブ機器の展示会「インターナショナルCES」が最初だ。その前年までは、各社3D(立体視)テレビを競っていたが2011年からは「スマート」がバズワード(流行中のキャッチフレーズ)となった。当時、韓国サムスン電子は「アプリをダウンロードし実行可能かつセーブして保存できるテレビ」をスマートテレビとしていた。それまでのテレビがインターネットにつながり、ブラウザで情報を見ることに対して、テレビ側でのアプリ実行と保存を提唱した点が新しい。この年、ソニーは米グーグルと提携した「グーグルテレビ」をデモしている。インターネットとテレビの間を相互に行き来する様子が示されていたが、切替が高速なことを除けば「インターネットテレビ」の域を出ないとの印象を筆者は持った。サムスン電子の提唱するスマートテレビは、家電業界としては一頭地抜けたものであった。ただし、提供されるアプリが非常に簡易なものであること、恐らくはLinux等の既製OS上での一般的なアプリでありテレビとのインターフェイス(たとえば、画面から情報取得して処理する、等)が有効に取られていないことなどから、アプリがあるといってもそれは「超大画面スマートフォン(ただし、電話機能無し)」とすら呼べないようなものであった。翌年になると、各社の“スマート攻勢”はトーンダウンしており、アプリの実行こそ条件であるがテレビへのアプリ保存は謳われなくなっていた。2013年になるとYouTube等のコンテンツ視聴がシームレスに行えれば、つまりチャンネルボタンの一つにネットコンテンツ視聴が割り当て可能であれば、スマートテレビと呼ぶ有様だ。スマートテレビと4K/8K映像新聞論説委員/日本大学生産工学部講師(非常勤) 杉沼 浩司2 スマートに代わりセカンド筆者は、2011年にグーグルテレビを入手し、その機能等を試したが全く将来性を感じるものではなかった。インターネットコンテンツをテレビ画面で視聴する装置としての指向性は確認できた。しかし、テレビコンテンツを使って視聴者に新たな価値を提供するものでは全くなかった。例えば、価値創造に密接な関係を持つ検索機能は皆無に等しく、せいぜいインターネットを呼び出して「中継があった試合の結果」を探す程度である。これでは、PCの方が使いやすい。スマートテレビは減速したが、急速に立ち上がっているのは“セカンドスクリーン(又は、コンパニオンスクリーン)”だ。テレビを見ながら、スマートフォン、タブレットを操作する人が多いことから、これらの携帯機器にテレビ放送関連情報を送るところから始まったものである。既に、欧米ではセカンドスクリーンへのコンテンツ提供が始まっている。セカンドスクリーン利用時に必要なのは、メインスクリーンとの同期だ。セカンドスクリーンに現れる情報が早すぎても遅すぎても価値が下がる。そこで、オーディオ・フィンガープリンティングを利用した自動同期などが導入されている。筆者は、セカンドスクリーンの本質的な要点

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