調布ネットワーク 25-2
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30調布ネットワークVol.25-2という指標(kPa)で表す。イメージとしては注射器で土壌中から水分を吸い取るのに必要な吸引圧である。一般的に使われるMPセンサーは、セラミック管に水を入れたテンションメータである。封入された水の圧力を圧力センサーで測定することで土壌のMPを表示する。テンションメータは作物が必要とする、体積含水率では表示しきれない微妙な土壌水分の状態を検出できる利点がある。しかし、土壌水分とセラミック管内の水の平衡状態を前提としているので、急激な土壌水分の変化には追従できないこと、土壌が乾燥しすぎるとセラミック管内に空気が侵入し、センサー機能が低下するなどの欠点がある。この欠点を補うものとして最近はさまざまな間隙を持つ既知のセラミックの体積含水率を誘電率法で求めMPに換算するセンサーも開発されている。3 フィールドモニタリング圃場の土壌環境計測では土壌センサーとデータロガーを組み合わせたシステムが使われる。遠隔地にこのシステムを設置した場合、この稼働状況を確認できると便利である。これは、現地に設置したデータロガーやWebカメラを一時的にインターネットに接続するだけで実現できる。著者はこれをフィールドモニタリングシステム(FMS; Field Monitoring System)(図1)と名付け、それに必要な要素技術を開発してきた(注1)。 (1) フィールドルータ(FR)FRは現地データをインターネット経由でサーバに転送する機器である。こうした機器にはフィールドサーバがある(注2)が、FRはリアルタイム性を多少犠牲にして日単位でデータにアクセスするのが特徴である。FRはタイマーにより1日に30分だけ電源がONになるため、6ワット程度の太陽パネルで稼動する。電源がONになると、Webカメラの現地画像と各データロガーのデータがインターネット経由でサーバに送信される。日本国内ならほとんどの地域でFRを利用できる。海外であれば、対象とする地域でGSM/3Gの携帯電話が使えることを確認した上でその国内のSIMカードをUSBモデムに挿入するだけでFRを利用できる。(2) ネットワークアダプタBluetooth (NABT)NABTは、シリアル通信ポートを持つデータロガーにBluetooth通信機能を付加する機器である。この装置も2ワット程度の太陽パネルで稼動する。NABTはシリアル接続可能な全図1 Field Monitoring System (FMS)

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