調布ネットワーク 25-2
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26調布ネットワークVol.25-21 はじめに道路交通の効率化と交通事故の抑止をめざしてITS (Intelligent Transport System … 高度道路交通システム)のさらなる高度化が進められている。特に安全運転支援の分野では、各車両が自車の位置・速度等の情報を周辺車両へ通知する車車間通信と、道路上に路側機と呼ばれるインフラ機器を設置して道路規制・信号等の情報を周辺の車両へ提供する路車間通信が検討されている(図1)。これらの通信には、CSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance … 搬送波検出多重アクセス/衝突回避方式)による自律分散ブロードキャスト通信が用いられ、日本では760MHz帯の1チャネルを時分割共用して運用する車車・路車共用通信システムの標準化がなされている。本講演では安全運転支援を中心としたITSの無線通信技術を取り巻く環境、研究開発動向、技術課題について概説するとともに、今後の課題について述べる。2 最近のITS通信技術の動向2011年の中央交通安全対策会議において第9次交通安全基本計画が策定され、その中で、交通事故の死亡者数は減少傾向にあるものの、事故件数と負傷者数は依然として多いこと、また欧米諸国と比べて日本では高齢者死者数の占める割合が極めて高いことなどが示され、2018年までに死亡者数2500人以下を達成し、世界一安全な道路交通を実現することが目標として示されている。情報通信技術(IT)の活用は人間のミスによる被害の防止等に大きく貢献することが期待できることから、高度道路交通システム(ITS)等の活用等を積極的に進めることとしている。技術的には、既に研究開発が進められてきた車車間通信技術等を用いた安全運転支援システムの大規模実証実験が2009年にお台場にて「ITS Safety 2010」として実施され、早期の導入が期待されている。これを受けて総務省は地上波放送デジタル化移行後の760MHz帯の周波安全運転支援を中心としたITS通信技術の動向と今後の展開電気通信大学 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター センター長 教授 山尾 泰図1

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