調布ネットワーク 25-2
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24調布ネットワークVol.25-22 ICTのマクロ経済的位置づけGDP成長率を労働、資本、技術進歩に分けて分析すると、情報資本蓄積によるGDP成長、ICT要因によるTFP(全要素生産性)成長いずれの面でも、ICTは一貫してプラスに貢献している。しかしながら、我が国は、米国と比較するとICTのGDP成長への寄与度は低いと言わざるを得ない。情報化投資及び情報通信ストックについても、日米間では依然として大きな格差が存在し、ICT投資等による生産性向上の指標となるTFP(全要素生産性)は、各産業で米国が概ね日本を上回っている。これらを踏まえると、我が国は、効率化の手段としてではなく、付加価値創出の手段としてICTを戦略的にどう活用するかが長年の大きな課題となっていると言える。また、本年度の情報通信白書で、乗数効果を分析したところ、ICT投資の乗数効果は、2·0に対し、一般投資は、1·2であり、約2倍の差があることが明らかになった。これは、ネットワーク効果の差によるものと考えられるが、マクロ的にも、ICTが経済成長に寄与することが明確になった。(資料2)更に、最近、話題になっているビッグデータの経済効果を分析したところ、データ流通量の伸び率と労働生産性の伸び率との間には、プラスの相関関係があることやビッグデータを活用することにより、全体で約7兆7000億円の経済効果があるとの試算も得られている。これらのことを総合的に考えると、ICT投資の意義を再認識することが極めて重要であると言える。最近のスマートフォン、M2M、クラウド、ソーシャルメディア、ビッグデータなどの流れを「スマートICT」と呼んでいるが、これらの最新トレンドの活用は、我が国が直面する社会的課題の解決や新たな付加価値産業の創出に寄与し、日本の元気・成長を実現する起爆剤になると考えられる。また、世界的に見ても、世界の総人口は2050年までに90億人を突破し、総人口のうち約7割が都市部に集中する見込みであることや地球温暖化、エネルギー制約、食料不足、水不足など一国では解決できない地球的課題が山積しており、これらの課題を解決する手段として、ICTの活用は大いに期待されている。特に、近年、インターネットや携帯電話は、高所得国以外での普及率が高くなっており、ICTの課題解決のポテンシャルを地球的規模で共有できる可能性が高まっていると言える。3 ICTプロジェクトの推進今後、推進する主なプロジェクトについて説明する。我が国は、世界に先駆けて超高齢社会に突入するため、超高齢社会を克服するモデルを世界に提示する責務があると考えている。特に、技術革新が著しく時間と距離を超越するICTを積極的に活用することにより、身体的な衰えを資料2

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