調布ネットワーク 25-2
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13青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが情熱を失う時に精神はしぼむ。(中略)人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる希望ある限り若く  失望と共に老い朽ちる  (後略)サムエル・ウルマン(著) 岡田義夫(訳)この力強い言葉から始まる詩によって、人生の極めて困難な時期に何度か助けられた事が有ります。最初にこの詩に出会ったのは、銀行マンであった義父からの紹介でした。若い私はその頃に仕事で苦戦していて、挫けそうな姿を見た義父が自分の言葉の代わりにプレゼントをしてくれたのだと思います。作者のサムエル・ウルマンは、米国アラバマ州の無名の詩人でしたが、その詩をマッカーサー元帥が座右の銘としていた事で、初めての日本語訳者の岡田氏や、その後、松下幸之助氏を経て、世の中に広まったというのを知りました。その後幾つかの訳本が世に出ていますが、私はこの本を人生の厳しい場面に遭遇した時に、自分に新たな力をくれる本として手元に置いてあります。また、詩を印刷して自分のオフィスの壁に貼り、時々眺めることで心に新しいエネルギーが湧き上がってくるのを感じます。今の世の中はストレスが充満し、本来理想に溢れているはずの若者の心をも蝕んでいて、人知れず老いた心に落ち込ませてしまう様な環境です。しかしながら人はやはり心の動物であり、心の有り様が如何に重要であるかという事を、ウルマンの詩集から感じる事が出来ます。厳しい環境で毎日を過ごしている方々に心の栄養としてお薦めしたい一冊です。私が薦める一冊大家 万明 1979年 電波通信学科修士課程「青春」という名の詩─ 幻の詩人サムエル・ウルマン ─宇野収/作山宗久 共著発行所:産業能率大学出版部読書の愉しみ特 集

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